【No.20】交響的詩曲「羅生門」~彼の行方は誰も知らない

曲概要

「交響的詩曲「羅生門」~彼の行方は誰も知らない」は福島弘和の作曲した吹奏楽曲です。

福島県立磐城高等学校の委嘱により2009年に作曲されました。

芥川龍之介三部作の二作目ですね。

この曲の推しポイント!

この曲は芥川龍之介の小説「羅生門」の内容に沿って展開していきます。

 

「門の風景」

荒れ果てた羅生門を表すような不気味な音楽で始まります。

トランペットを中心にしたffのファンファーレの怪しげな響きが印象的です。

 

「雨の中 佇む下人」

悪へと落ちる決心のつかない下人が、一人佇みます。オーボエのソロが中心となる場面です。

ハープとピアノの伴奏が雨のような音響効果を伴います。

 

「楼の上 揺れる火」

夜を明かすために登った楼に、明かりが灯っているのを発見します。

FlとObの掛け合いがまだ出会っていない下人と老婆を表しています。

高まった緊張感がG.P.で弾けるのが良いです。

 

「老婆の様子」

開幕からffの分厚い音楽。

何度も下人の象徴として用いられているObが現れた後、老婆によって揺れ動く感情の波を表すように木管楽器の三連符が展開していきます。

「老婆と下人のつかみ合い」

老婆と下人の対峙を表す激しい場面です。

「門の風景」のフレーズが激しさを増して現れた後、主体とする楽器が次々に入れ替わりながら展開していきます。

ちなみにこの場面は原作では本当に数行です。まだ若い下人と老婆のつかみ合いなど一瞬で勝負がつくので。

 

「老婆と下人の対話」

「楼の上 揺れる火」に似た音楽です。

しかし高まっていく緊張感を感じさせた上記の場面とは真逆で、音量は大きくなっていく一方でどことなく冷静さを感じさせます。

そしてこの曲二度目のG.P.で下人が闇堕ちを決心します。

 

「老婆から服を剥ぎ取る」

最も激しい場面。

変拍子の音楽をはじめとした混迷を極めた後、冒頭の音楽が再現されます。作曲者曰く、羅生門に支配されたという表現だそうです。

そして、静まり返り物語は幕を閉じます。

副題でもある、「彼の行方は誰も知らない」と繋がるわけですね。

 

演奏されることはあまり多くはありませんが、名曲です。

曲情報

曲名:交響的詩曲「羅生門」~彼の行方は誰も知らない

作曲者:福島弘和

作曲年:2009年

この曲を一言で言うと:国語で習うよね

演奏歴:無し

(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)

 

Tuba. T