
曲概要
「千代のかざし」は井澗昌樹の吹奏楽曲です。
京都府職域・一般吹奏楽連盟の委嘱で2017年に作曲されました。
古都、京都の委嘱らしくタイトルは歴史書から引用されたものになります。
この曲の推しポイント!
色々にさかへて匂へ 桜花 我君々の千代のかざしに
これは南北朝時代の歴史書、「増鏡」より引用したもので、この作品のタイトルの元となった一文です。
京都が花盛りになる春に季節に、まだ若い深草天皇と恒仁親王が後嵯峨院の前で管弦遊び(合奏)をする機会がありました。
その演奏は非常に素晴らしく、感銘を受けた後嵯峨院は
「色々に 枝をつらねて 咲きにけり 花も我が世も 今盛りかも」
と詠まれました。
それに対して、太政大臣であった西園寺実氏は冒頭の
「色々にさかへて匂へ 桜花 我君々の千代のかざしに」
を詠みます。
古来かんざしは植物の生命力をもらい受けるべく、髪や冠に花や木々を差していたそうです。
君、とは帝を指しますので今咲き誇る花々が帝のかんざしとなることで、繁栄が続くようにという意味だと思われます。
冒頭、ゆったりとしたメロディの中で、五連符の何かが砕けるような音が定期的に混ざって不安を煽ります。
一度picc.とClのソリを挟んだ後、少しづつ速度を増していくような感覚に襲われます。
(実際には音符が細かくなっているだけで速くなってはいません。)
この擬似的なアレグロを超えた後もう一度Picc.Clを挟み、そして一旦クライマックスを迎えます。
このクライマックスのメロディが非常にわかりやすく感動的で、逆にびっくりしてしまいます。
しかしその感動のまま終わらないのが井澗昌樹作品らしく、グロッケンの装飾音符とスネアドラムが不安を煽りながら終盤へと進みます。
最後の最後にあるClとB.Clのソリがいい味を出してます。
今まで聴いていた井澗昌樹作品とは少し違う一面もありつつ、期待通りな一面もありつつ、非常に良い作品です。
曲情報
曲名:千代のかざし
作曲者:井澗昌樹
作曲年:2017年
この曲を一言で言うと:古典勉強しとけばよかった
演奏歴:無し
(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)
Tuba. T