【No.97】プラハのための音楽1968

曲概要

「プラハのための音楽1968」はK.フサの吹奏楽曲です。

Ithaca College Concert Bandの委嘱で1969年に初演されました。

 

この曲の推しポイント!

1968年1月、チェコでは言論や集会の自由、市場経済の導入などの改革が行われました。

これが「プラハの春」です。

しかし、ソ連・東欧諸国はこの動きを良しとしませんでした。

結果的に同年8月にはワルシャワ条約機構軍が軍事介入を開始。

「プラハの春」は終わりを告げます。

 

チェコ・プラハ出身の作曲家であるカレル・フサは、その時既にアメリカに活動の場を移していました。

故郷で起きた事件に対する怒り、悲しみ。

それらがこの曲のテーマとなっています。

 

全編を通して「Ye Warriors of God and His Law」という曲が引用されています。

我が祖国」でも用いられているメロディですね。

これは多くのチェコ人作曲家によって引用されている賛歌になります。

 

15世紀の宗教革命家である「ヤン・フス」を讃えるために作られた曲になります。

チェコの作曲家たちはこの曲を「革命の歌」、「抵抗の歌」として用いています。

 

もう一つはTp.を中心としたファンファーレ。

こちらは弾圧のテーマとして用いられています。

 

また、プラハは「百塔の街」とも言われており、教会の鐘がよく響きます。

要所で現れるチャイムの音はその教会の鐘の音であり、それは勝利と苦難を表しています。

 

そしてPicc.が奏でるのは平和を表す「鳥の声」

 

これらが混ざり合い、クラスター等の特殊奏法を交えながら曲は進んでいきます。

 

 

「序奏とファンファーレ」では主要な主題が全て登場します。

「鳥の声」や「抵抗の歌」もかすかに聴こえますが、全てはファンファーレに押しつぶされます。

 

「アリア」は張りつめたような雰囲気です。

ずっと重苦しく、長い音が続きます。

この楽章ではプラハに起きる悲劇を予期させます。

 

「間奏曲」は打楽器による場面。

ぼやけたアンサンブルから始まりますが徐々に一つの形となっていきます。

最後はスネアドラムが「ほとんど耐えられない大きさ」までクレッシェンドします。

 

そしてそのまま「トッカータとコラール」に突入します。

激しい前奏はワルシャワ条約機構軍の蹂躙を思わせます。

不安げな変拍子を繰り返しながら曲は進んでいきます。

 

途中Timp.のソロによって「抵抗の歌」が奏でられる、強烈な間奏部を挟みます。

その先でtutti.によってそれが奏でられ、クライマックスを迎えます。

 

 

演奏しなくてはならない。

曲情報

曲名:プラハのための音楽1968
作曲者:K.フサ
作曲年:1968年

この曲を一言で言うと:歴史です
演奏歴:なし

(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)

 

Tuba.T