【No.43】吹奏楽のための協奏曲第1番

曲概要

「吹奏楽のための協奏曲第1番」は野呂望の作曲した吹奏楽曲です。

2018年3月28日に開催された昭和ウインドオーケストラ第22回定期演奏会にて初演されました。

第23回響宴にも選出されましたね。

この曲の推しポイント!

この曲は野呂望さんの修士論文のテーマ「20世紀における『管弦楽のための協奏曲』研究」に関連した作品になります。

全三楽章構成で、12分ほどの演奏時間。

この演奏時間もコンパクトかつ簡潔に音楽を進行させること、そして曲中の様々な要素を飽和させずに進行させることが狙いとしてあるそうです。

また、それぞれの楽章は野呂さんの過去、現在。未来を表しているそうです。

 

第一楽章は序奏部の主題が快活に展開していく、非常に聴きやすい、オーソドックスな作りになっています。

「あなたとワルツを踊りたい」をはじめとする、他の吹奏楽曲にも似ているような、安心する音楽です。

楽章の最後に至っては完全にワルツのそれですね笑 こういうのおしゃれ。

これが「過去」の楽章、というわけですね。

 

それに対して第二楽章は均衡の崩れた不安定な楽章になります。

解説にも記載がありますが、B.バルトークの『管弦楽のための協奏曲』第四楽章「中断された間奏曲」の技法を用いています。

ショスタコービッチの交響曲第7番「レニングラード」の主題が引用されますが、それに対しトロンボーンがグリッサンドで「ブーイング」を示して中断させる……といった流れですね。

この曲では、何度も不安定になりながら演奏される間奏曲が、中盤で完全に中断されます。スネアドラムやバスドラム、低音楽器、ホルンの力強く、破壊的な響きですね。そして、木管楽器によるアンサンブルでこの楽章は幕を閉じます。

この「現在」の楽章は、過去の作風から離れようとする葛藤が描かれています。

 

第三楽章では二楽章で用いられた中断の技法のような激しい音楽が中心になっており、今までの野呂さんの吹奏楽曲とは全く違う物が次々に展開されていきます。。

しかし、中間部のサックスのメロディなどでは過去の作品を思い出させるようなフレーズが登場し、葛藤の結果が理解できます。

これが野呂さんの「未来」の楽章です。

 

この曲の初演は野呂望さんが当時所属していたサークルである、昭和ウインドオーケストラにて、ご自身の指揮によって行われました。

僭越ながら私も伺わせていただいたのですが、素晴らしい演奏でした。

いつかもう一度聴きたい……と思っていたので、こんなにも早く出版されて感無量です。

 

めちゃくちゃやりたい。

曲情報

曲名:吹奏楽のための協奏曲第1番
作曲者:野呂望

作曲年:2018年

この曲を一言で言うと:推しの新曲
演奏歴:無し

(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)

 

Tuba. T