【No.54】吹奏楽のための「ゴシック」

曲概要

吹奏楽のための「ゴシック」は木下牧子の作曲した吹奏楽曲です。

大曲吹奏楽団の委嘱で、2006年に作曲されました。

同年の吹奏楽コンクールでは全国金賞を受賞しています。

この曲の推しポイント!

ゴシックとは、元々北ヨーロッパの建築様式のことで、古代ゲルマン系民族の「ゴート人」が語源の言葉です。

 

しかし、現代においてはその意味を大きく離れて「俺がゴシックといえばそれがゴシック」みたいな状況になっています。

 

退廃的な美、怪奇現象、神秘。

 

ゴシックファッション、ゴシック小説。

 

そんなゴシック小説の一つ、「砂男」が一つのテーマになった作品です。

主人公ナタナエルは幼少期から、眼球を奪う怪奇である「砂男」に怯え続けます。成長してからもその陰は付き纏い、やがて精神を蝕んでいきます。

 

曲は蠢くような幻想的な音楽と、迫るようなワルツが交互に二回現れるという構成になっています。

冒頭の低音部の動きがエモエモですね。

ワルツの部分で指定されているテンポ自体は速くありませんが、どこか焦らせるようなドライブ感が続きます。

月並みな感想ではありますが、西村朗作曲の秘儀シリーズを聴いた時と同じ感覚に襲われました。

印象的なのは定期的に訪れる、無音になる拍です。
その部分の解釈次第でだいぶ違う演奏になるのではないかと思います。

大曲吹奏楽団の熱演は必聴です。

 

 

 

曲情報

曲名:吹奏楽のための「ゴシック」
作曲者:木下牧子

作曲年:2006年

この曲を一言で言うと:僕もゴシック
演奏歴:無し

(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)

 

Tuba. T