【No.69】フェスティバル・ヴァリエーション

曲概要

「フェスティバル・ヴァリエーション」はクロード・トーマス・スミスの作品です。
言わずと知れた吹奏楽の名曲であり、難曲としても名高い曲です。

この曲はワシントン・アメリカ空軍軍楽隊、並びにその指揮者のアーノルド・ガブリエル隊長の委嘱により作曲され、(米国)音楽教育者音楽会議(Music educators Music conference)とテキサス音楽教育者協会の75周年を記念した合同大会において初演されました。
ガブリエル隊長は「フェスティバル・ヴァリエーションは、間違いなく20世紀における記念碑的な(吹奏楽)作品の1つとして位置づけられることになるだろう("Festival Variations will . . . certainly rank as one of the monumental compositions of the 20th century")」という称賛をスコアに記しており、実際、今日においてもそのような位置づけとなっているのではないでしょうか。

全体的に難易度の高い曲ですが、中でもホルンは特に難易度が高く、過酷なパートとなっています。
この背景には、アメリカ空軍軍楽隊の首席ホルン奏者であったジョニー・ウッディー最先任上級曹長が、ホルン奏者でもあった作曲者の大学時代のライバルであったため難しく書いたという逸話が残されています。

余談ですが、この曲には軍楽隊の編成に合わせたため吹奏楽では珍しいチェロパートが存在しています。

 

この曲の推しポイント!

冒頭の迫力のあるホルンのtutti、ピッコロ、ファゴットのソロによる主題の演奏、中間部のホルン、テューバ、ユーフォニアム、バスクラリネット、ファゴットによるソロ回し、後半の速いテンポに戻ってからのトランペットとピッコロによる主題の変奏など、この曲は余すところなく全てが推しポイントと言っても過言ではありません。

その分、難しく書かれたというホルンに限らず、どのパートもかなりの技量を求められます。

しかし、どんなに難しかったとしても吹奏楽をやっている上で死ぬまでに1度は吹いてみたい曲の1曲ではないでしょうか。

 

また、終盤に至る直前で一度クライマックスに達してしまい、曲が完全に止まる瞬間があります。

tutiiによるファンファーレが決まると、吹奏楽コンクールをはじめとした多くの演奏機会では拍手が起きてしまいます。

この拍手、一観客として聞くと腹が立ちますが、奏者側だったらどうでしょう。

私は、拍手を受けてしまうくらいのクライマックスを作ってみたい、と思ってしまいます。

 

私達の団でも選曲に出てくる度、「吹きたい!」という願望と「吹けるのか?」と言う疑問から、なかなか演奏まで至っていない1曲です。

 

それにしても一つの主題のここまで使い回すだけでこんな名曲が書けるんですね……

 

 

曲情報

曲名:Festival Variations
作曲者:C.T.スミス

作曲年:1992年

この曲を一言で言うと:憧れの一曲

演奏歴:無し

(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)

 

Fl. K