【No.98】交響曲第2番「ビッグ・アップル」

曲概要

交響曲第2番「ビッグ・アップル」はヨハン・デ・メイの吹奏楽曲です。

アメリカ空軍ワシントンD.C.バンドの委嘱で作曲されました。

 

この曲の推しポイント!

ビッグアップルとはニューヨークの愛称になります。

その語源については様々な説がありますが、一応公式の説では、

 

19世紀、男性が集まるサロンにいた女性達のことを「リンゴ」と呼んでいたとか。

そんな「リンゴ」の中でも、一番上等な物が集まるのはやはりニューヨーク。

ということで、ビッグアップルと呼ばれるようになったそうです。

 

下品な感じですね。

 

その後リンゴ業者によって名前の浄化運動が行われ、「ビッグアップル」という愛称だけが残ったとか。

 

「眠らない街」でもあるニューヨークをモチーフにした曲だけあって、かなり賑やかな音楽です。

一楽章の「スカイライン」ではおどろおどろしい低音楽器や、不安を煽るフルート群によって始まります。

その後ホルンによって奏でられた主題を中心に、金管楽器の効果音のような音やイングリッシュホルンのメロディが混ざり合いながら進んでいきます。

また、伴奏はどこかミニマルミュージック的な雰囲気を漂わせていきます。

 

やっと静まり返ったところはE.Hrnのソロです。

そこに木管楽器が加わり、徐々に主題が見え隠れしてきます。

金管楽器も加わり華やかなコラールへと到達します。

最後は喧騒を表すような各楽器群の連打。

冒頭を再現しつつ、さらに華やかに終わります。

 

ここまでだけでもう充分成立してます。

 

1.5楽章は「タイムズ・スクエア・カデンツァ」

本当は普通の三楽章構成の曲として間奏曲を書こうとしたのですが、二つの楽章を繋ぐには見合わないと考え変更したそうです。

1993年9月に作曲者本人がニューヨークで収録した、街頭や地下鉄など街の喧噪の録音を流す形になっています。

それにピアノやドラが加わります。

この楽章を作成したことは英断だと思います。

それだけ非常に効果的です。

 

2楽章は「ゴッサム」

これもニューヨークの俗称の一つです。

イギリスに実在する村の名前で、国王からの支援要求を断るために話の通じない愚か者を村人全員で演じたという逸話があります。

そのことから、「愚か者の街」という意味の俗称になります。

バットマンのゴッサム・シティとかはこれが由来ですね。

 

この曲のゴッサムはゴッサム・シティよりの意味で犯罪都市。

華やかなニューヨークの闇の部分を表す楽章です。

 

Tp.のファンファーレで始まった楽章は、木管楽器によるコラールへと進みます。

金管楽器も加わり、クライマックスを迎えた後一楽章冒頭を思わせるような連打が入ります。

B.Cl.を中心にした木低群の連符、Timp.の連打、Trb.の重低音。

一楽章とは対照的に低音群が中心となって、かなり速いテンポで進んでいきます。

華やかでありながらも、どこか恐ろしい、「強さ」みたいな物を感じさせるコラールでクライマックスを迎えます。

「強いアメリカ」って感じですね。

 

デメイと言えば「指輪物語」や「エクストリーム・メイクオーヴァー」といった作品群が有名ですが、僕はこの作品がナンバーワンだと思っています。

オオサカ・シオンの生演奏は圧巻でした。

 

いずれ必ずやりたいです。

 

 

 

曲情報

曲名:交響曲第2番「ビッグ・アップル」
作曲者:ヨハン・デ・メイ
作曲年:1993年

この曲を一言で言うと:クソデカリンゴ
演奏歴:なし

(早稲田吹奏楽団での演奏歴:早、フィエスタ・ウィンドシンフォニーでの演奏歴:F)

 

Tuba.T